乳児期:出生から1歳未満。
出生から1週未満を早期新生児期という。
出生から4週未満を新生児期という。
乳児期は成長・発達ともに著しい時期です。とくに出生後4週間は一生のなかで最も顕著で、子宮外から環境へ適応するために必要とされる原子反射を示す時期でもあります。
1-1 発達の目安
発達面の異常を早期に発見するためには、運動機能面、精神機能面における、正常発達の目安を知る必要があります。それは発達がみられるべき時期より大きくはずれた場合が問題となるからです。
(1)運動機能面においての発達の目安は以下の通りです。
- 首がすわる:3~4ヵ月
- 寝返りをうつ:5~6ヵ月
- おすわり:7~8ヵ月
- ハイハイ:10ヵ月
つかまり立ちは8ヵ月頃からはじまり、歩行については個人差がありますが、早い子で11ヵ月、多くは12~15ヵ月で、18ヵ月を過ぎて歩けない場合はなんらかの異常を疑う必要があるとされます。
(2)言語機能面においての発達の目安は以下の通りです。
- 母親の声を聞き分ける:3~4ヵ月
- パパパパなど喃語をいう:6~8ヵ月
- アッアッなど要求や呼び掛けをする:8~10ヵ月
- 親の言う簡単な言葉を理解する:10~11ヵ月
- バイバイ等をまねする:10~11ヵ月
- いいつけを理解してする:15ヵ月
- 意味ある発語:11~18ヵ月
- ママ、ゴハンのような2語文:18~24ヵ月
1-2 健康検査
上記の発達の目安と身体発達を加味して、公費による乳幼児健康診査は、1ヵ月、3~4ヵ月、1歳6ヵ月、3歳6ヵ月に集団健診が行われています。
健康診査
時期 | 目安 | 精密検査の適応 |
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1ヵ月 |
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灰白色便や黄疸は入院検査 |
3~4ヵ月 |
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首のすわっていない児、追視のない児は精査 |
6ヵ月 |
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9ヵ月 |
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1歳でハイハイしなければ精査 |
1歳6ヵ月 |
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未歩行、話せない児は精査 |
3歳 |
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言葉の遅れ、難聴、視力障害の疑いは精査 |
1-3 乳児期における精神保健上の問題
(1)精神遅滞(知的障害)
乳幼児期の問題として胎生期からの先天奇形、染色体異常、先天代謝異常、分娩時異常が顕在化し発見されてくる。その症状は主として精神遅滞(知的障害)である。
(2)自閉症
自閉症が乳児期に発見されたこともある。
(3)けいれん
- 強直けいれん
- 手足が硬くなり、突っ張る型のけいれん。呼吸を止め、眼球は一点を凝視する。
- 間代けいれん
- 手、足、顎をガクガク動かし、瞼も閉じたり開けたりするけいれん。
- 強直間代けいれん
- 始めに、強直けいれんが起こり、次に間代けいれんに移行する。
※子どもの4~10%にけいれんがみられ、乳幼児期は最もけいれんを起こしやすい時期であり、その原因として、熱性けいれん、てんかん、脳血管性障害などが挙げられる。
(4)夜泣き
夜泣きとは夜間に乳児が泣くことで、多くは生理的現象。しかし、両親の生活を妨げるほどの繰り返される夜泣きは異常といえます。夜泣きは生後6ヵ月頃より増加し、乳児期に高率に見られる。原因として身体的原因と心理的要因があり、身体的原因として、空腹、暑さ、騒音などの環境要因によるものと、中耳炎、アトピー性皮膚炎、ヘルニア、時には腸重積などの疾病によるものがある。心理的要因として、抱き癖、過保護、異常興奮など。