動悸・めまい~心臓がどきどきする、息苦しい、めまいがする~

動悸やめまい、息苦しくなるのはどうしてですか

大勢の人の前で話すとき胸がドキドキする、緊張して息があがるといったことはよく経験することですが、これは身を守るために人間に備わった反応です。心拍は、交感神経と副交感神経からなる自律神経によってコントロールされています。不安や緊張など、ストレス状態にあるとき交感神経の働きが高まります。交感神経が活発になると、筋肉が緊張し、血圧や心拍があがり、呼吸は浅くなります。逆に副交感神経が活発になると、体は緩み、血圧や心拍もさがり、リラックスした状態になります。
しかし、とくに緊張するような場面でもないのに、頻繁に動悸がする、呼吸が苦しいという場合は、何らかの病気が原因になっているのかもしれません。
心臓がドキドキする場合、考えられる身体疾患には不整脈をはじめとする心疾患や甲状腺機能亢進症などがあります。息苦しさの場合にもやはり不整脈をはじめとする心疾患、また呼吸器疾患などが考えられます。こういった症状が長く続く、気になる場合には、まずは循環器内科や呼吸器内科などで検査をしてみることが大切です。
めまいは様々な原因で起こります。自分の体や地面が回っているように感じるめまいの場合、メニエール病をはじめとする耳の疾患からくることが多いでしょう。また揺れるようなふらふらする感じのめまいの場合は、脳腫瘍をはじめとする脳疾患が原因となっていることがあります。
こうした体の検査をしても異常が見つからず、精神科を紹介されることもあるでしょう。そこではじめて、精神疾患だったことがわかる場合があります。たとえば、めまいを感じて脳神経外科、耳鼻科、神経内科へ行き、最後に精神疾患だとわかるケースも少なくありません。
一見、遠回りに見えますが、まず身体疾患の検査をすることは、デメリットばかりではありません。めまいを感じ、最初に精神科に通いながら、なかなか改善しないので検査をしてみたら脳腫瘍が見つかることもあります。どんな症状であれ、まずは関係のある体の検査をしてみることが大切です。
動悸や息切れ、めまいを感じる代表的な精神疾患には、パニック障害があります。激しい動悸がして、息ができないように感じ、死んでしまうのではないかと思えるほどの発作が起きます。救急車で総合病院に運ばれ、一般的血液検査や心電図検査、24時間持続して検査するホルター心電図、胸部X線写真などの検査をしても異常が見つからず、発作を繰り返すうちに精神科でパニック障害だと診断されることもあります。
全般性不安障害でも動悸やめまいを感じますが、これは極度の緊張によるバランス感覚の過剰反応から、めまいやふらつきを引き起こすと考えられています。
ほかにも、うつ病、適応障害、心気症などでも、動悸やめまいといった身体症状が表れることがあります。うつ病の場合は、憂うつ気分などの精神症状よりも、身体症状のほうが目立つ「仮面うつ病」ということもあり、めまいやふらつきもそのひとつです。いずれの場合も根底にある精神疾患を治療していくことで、次第に身体症状も和らいでいきます。

自分が動悸やめまいを感じるときはどうしたらいいですか

緊張する場面でもないのに突然胸がドキドキする、めまいを感じるという場合、まずは内科や循環器内科、耳鼻科などの身体科を受診してみましょう。もし、様々な検査を行っても異常が見つからないなら、ストレスの影響や精神疾患が考えられます。そのとき「少しストレスがたまっているだけだ」と放っておかず、早めに精神科や心療内科などの医療機関で相談してみましょう。
「最近、プレッシャーの大きい仕事が続いたせいだ」「神経質になって気にしすぎているだけだ」と放っておくうちに、精神疾患が悪化してしまうことも少なくありません。
また精神疾患が、メニエール病などの身体疾患を悪化させているケースもあります。この場合も精神疾患の適切な治療が、身体の自覚症状を改善することにつながります。
自分だけで判断せず、早めに専門機関に相談することが大切です。

身近な人が動悸やめまいを訴えるときはどうしたらいいですか

動悸やめまいなどの場合、背景に重大な病気が隠れている場合があります。まず最初に身体の病気について検査をするよう勧めましょう。それでも異常が見つからないときは、こころの病気が隠れている可能性があります。こころの病気も早めに治療をするほど早い回復につながります。ストレスから疲れているだけだと思っているうちに、悪化していく可能性もあります。休養しても症状が改善しない場合は、精神科への受診を勧めることが大切です。
パニック障害の場合、発作が激しいので自分から病院に行くことが多いのですが、体の病気だと思う人も多いでしょう。場合によっては、本人はこころの病気だと認めたくないかもしれません。
発作が起こることを恐れて、電車に乗れない、繁華街にでかけられない、エレベーターに乗れないといったことも出てきます。治療を受けることで、少しずつ外出できるようになりますので、家族など、周囲の人の理解やサポートがとても大切になってきます。
いきなり一人で外出するのが難しいことも多く、身近な人の付き添いが必要です。そのようなときも、無理をさせず、つらい気持ちを受け止めながら、本人のペースで、気長に見守ることが大切です。

出典:厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/symptom1_3.html

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