頭痛~頭が痛い、ずっしり重く感じる、ズキズキ痛む~
頭が痛くなる、重く感じるのはどうしてですか
風邪をひいたり、飲みすぎたあとの二日酔いなど、頭痛は誰でもよく経験します。そのほとんどは数日で治まるでしょう。ところが何日も頭痛が続く、あるいは頻繁に頭痛がする場合は、何らかの病気の可能性があります。
頭痛や頭重感には、基礎疾患が原因となっているものと、基礎疾患のないものがあります。よくあることだと気軽に考えていると、頭痛の背景には重篤な病気が隠れている場合もあります。
頭痛や頭重感が続く場合、ストレスやこころの病気が原因となっていることもありますが、まずは身体疾患から調べることが必要です。
基礎疾患が原因となる頭痛には、たとえば脳腫瘍や脳梗塞、脳出血など、脳内の病気が考えられます。神経内科や脳神経外科で、頭部CT、頭部MRIなどの検査を行って、脳疾患がないかを調べてみる必要があります。
ストレスの影響だろうと思って気楽に考えていて、頭痛が治まらず、しばらくたって検査したところ、脳腫瘍が見つかるケースもあります。身体症状を感じたとき、まず体の検査を行うことは、とても大切です。
基礎疾患のない頭痛として、緊張性頭痛や片頭痛がよく知られています。緊張性頭痛は、頭を周りからぎゅっと締めつけられるような痛みや、頭がずっしりと重く感じるのが特徴です。無理な姿勢を続ける、目や肩の疲れなどの身体的ストレスだけでなく、心配ごとや不安などの精神的ストレスから、頭部の筋肉が過度に緊張するために起こることがあります。
片頭痛は、脈拍にあわせズキンズキンと痛むのが特徴です。階段の昇り降りや、激しい運動のあと、緊張がとけてほっとしたときなどに痛くなったり、太陽の光や音で痛みがひどくなったりします。詳しいメカニズムはわかっていませんが、脳血管の収縮と拡張で引き起こされると考えられています。
これらの頭痛は、ストレスやうつ病とも関係が深いといわれています。最近では、うつ病や不安障害と関係が深いセロトニンという神経伝達物質が、片頭痛にも関係していることがわかっています。逆に、頭痛に悩むことで抑うつ状態になることもあります。また、人は精神的に不安になると、痛みに対して過敏になるので、ますます頭痛がひどく感じられるということもあるでしょう。
頭痛や、頭が重く感じるこころの病気には、ほかにも統合失調症や血管性認知症、適応障害、全般性不安障害、転換性障害など、様々な種類があります。
これらの病気でなぜ頭痛が起るのか詳しくわかっていませんが、こころの病気に伴う不安や緊張、神経が過敏になることで、頭痛が生じていると考えられます。転換性障害は、こころの問題が体の症状に置き換えられるもので、精神的なストレスが頭痛となって表れてきます。
自分が頭痛を感じるときはどうすればいいですか
頭痛は風邪や二日酔いなどでもよく起こる症状ですから、たいしたことはないと思ってしまうかもしれません。あるいは慢性的な頭痛は体質だからと、軽く考えてしまうかもしれません。しかし、頭痛の背景には様々な病気が隠れている可能性があります。
痛みがひどいとき、長引くときは、神経内科や脳神経外科などで、頭部の検査をしてみることが大切です。そして、体の検査で異常が見つからない場合、ストレスの影響やこころの病気の可能性も考えられます。片頭痛や緊張性頭痛の治療を続けても改善しない場合は、精神科や心療内科を受診してみることをお勧めします。
うつ病でも、抑うつ気分などこころの症状より、頭痛、肩こり、腰痛などの身体症状を強く感じることがあります。そのような場合、内科で頭痛の薬をもらったり、マッサージをしても、なかなか改善しないでしょう。うつ病の治療をすることで、次第に身体症状も軽減します。統合失調症や不安障害など、他のこころの病気が原因となっている場合も同様です。
また、うつ病から起こる身体症状は、激しい痛みや、特定の部位の痛みというより、痛みの症状や部位がはっきりしない漠然とした不調感として感じられることがあります。
ですから、このような痛みや不調感であっても大したことではないと思わず、専門機関に相談することが大切です。
身近な人が頭痛を訴えるときはどうしたらいいですか
慢性的に頭が痛いと訴えられても、本人のつらさはピンとこないかもしれません。神経質過ぎるのではないか、気のもちようだ、もっと気楽に考えたらよいなどと、思ってしまうかもしれません。
しかし、単なる頭痛だと思っていても、その背景に重大な身体疾患やこころの病気が隠れていることがあります。本人が、頭痛くらい大したことないと受診を嫌がっても、医療機関を受診するよう勧めるとよいでしょう。
とくに身体疾患が見つからなかった場合、頭が痛いからといって精神科に行くことに抵抗を感じる人もいます。しかし、こころの病気を治療をすることで、頭痛のつらさが軽くなることを伝え、受診を勧めてみましょう。
また、こころの病気にかかって、頭痛をはじめ、様々な身体症状を訴える場合は、周囲の人は「またか」とうんざりしてしまうことがあるかもしれません。そんなとき、こころの病が回復することで、体の調子もよくなっていくことを伝えましょう。本人のつらさに共感し、理解してあげることも大切です。