人生の午後

一般的に30代、40代を成人期ないし壮年期とし50~64歳を初老期としている。成人期は変化の少ない比較的安定している時期で、ユングは人生における盛りとして「人生の正午」と呼びました。緊張・不安・葛藤の青年期を経て、心理的・情緒的に安定し、現実生活への反応が増す時期でもあります。成人期の発達課題は2つで、エリクソンの同一性という概念を用いれば(1)職業的同一性の確立、と(2)性的同一性の確立です。

目次

1-1 成人期において必要な課題とは

成人期

職業的同一性の確立とは

学校を卒業し、就職して職場で様々な人間関係を経験しながら、自分に与えらえた課題や社会的な責任を果たす。

性的な同一性の確立

異性との接触を深め、配偶者を決定して家庭生活を営むようになる。女性の場合は妊娠、出産などが経験され、男女とも子育てをすることで父親、母親として成熟していきます。

このように成人期では、職業、家庭、育児などを通して現実に直面するので理想主義に走りやすい青年期と比較すると現実主義になってくるのです。

1-2 女性の社会的・職業的な地位の基盤はまだまだ不安定

家族

女性では現在も職業的・社会的地位を確立するための基盤がまだまだ不安定で職業的同一性の確立が困難な一方で、経済的な理由から女性の就業率が高まっています。その結果として出生率の低下がおこり、性的同一性の確立も困難となってくることになります。男性も急速に加速する産業構造、終身雇用制のなどによって、受容的な態度では職業的同一性を確立できないようになってきているのです。

また、職業的同一性の確立の失敗や性的同一性の確立の失敗が、さまざまな心理的問題を生み出すと言われています。成人期では、職場や家庭におけるものが重要となってきます。職場では中間管理職となり、家庭でも夫・父親として、妻・母親として現実的な役割を担わなければならず、かなりのストレスがかかります。このため、食欲不振、不眠、性欲低下などの訴えが少なくありません。

1-3 成人期における心身の不調

成人期の悩み

精神医学として、不安、抑うつなどを主症状とする神経症や、高血圧、胃・十二指腸潰瘍等の心身症、ストレスをアルコールで発散することで生じるアルコール依存、うつ病、統合失調症が青年期で発病する場合は妄想型であることが多いのです。

心身症

心身症とは「身体疾患のなかでその発症や経過に心理的な因子が密接に関与し器質的ないし機能的障害が認められる病態をいう。ただし神経症やうつ病などの他の精神障害を伴う身体症状は除外する」と日本心身医学会では定義しています。訴えは通常の身体症状ですが、その出現や訴えの強弱が心理的因子に影響さえれていると考えられ、身体症状を主とする神経症は心身症と重複します。主な心身症に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群、高血圧、気管支喘息、過換気症候群、慢性肝炎、円形成脱毛症などがあります。

うつ病

成人期の打つ業は、昇進や同僚に後れをとったことを契機としておこることがあり、社会的、職業的に何らかの支障が生じる。その障害が重篤ならば、うつ病と早期に診断されることが多いが、疲労感や肩こりなどの不定愁訴を訴えて仕事に能率が上がらない時もうつ病を疑う必要があります。

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