思春期・青年期の時期について様々な分類があります。多くの専門家は思春期は10代の身体的変化の時期をさし、青年期はおおよそ同じ年頃における心理的変化の時期を意味していると考えられています。
1-1 大人への移行期
思春期になると性的成熟の兆しが現れ、第2次性徴が出現するとともに、女性では月経が、男子では精子産生が始まる。生殖機能の発達に伴って性的衝動、性的欲求が生じます。
性的衝動と攻撃性は性別学的に等価物であり、攻撃性を発露していたのでは対人関係が成り立たない。従って大人社会に参入するには、攻撃性を制御する術を身につけることが思春期の大きな課題であるという。
『思春期の心とからだ』清水将之著
攻撃性の制御とは、性的欲求の処理をめぐって自慰とその罪悪感、同性愛、女らしい体つきを嫌悪した結果としての神経性食欲不振症など様々な問題が生じるとされています。
1-2 依存から自立への移行期
子ども時代は親に依存し社会から保護されて、自由度の高い暮らしを許されています。大人になるとこのようなことは許されず、すべて自己決定、自己責任において生きることを求められる時期なのです。子ども時代にはものの考え方も受け売りが多く、親、教師、友達、などの価値観へ簡単に身を寄せるが、思春期では、親の言うことが正しいと感じても、反論や無視することで、自分の考えや価値観を創っていくのです。
1-3 ピアジェとフロイトは思春期をどのように考えたのか
ピアジェは思春期・青年期を形式的操作の段階とよび、学童期よりも思考様式がいっそう発達し、概念を形成し、これを用いて高度な抽象的思考を行うことができるようになり、関心の範囲も社会、国、世界へと広がっていくとしました。
フロイトは思春期・青年期の14~20歳を性器期ないし成熟期とよび、異性を愛するようになり、性的欲動は対象となる異性を見いだし、利他的ふるまいを生させる時期であると言っている。フロイトは晩年、大人になることとはと尋ねられた際、「愛することと働くこと」と答えたという。
1-4 思春期における精神的な葛藤
思春期は変化の著しい時期であるので傷つきやすく、情緒的バランスを保つことが困難で常に危機をはらんでいます。神経症、精神病の大半はこの時期に初発するのみならず、非行、犯罪、薬物乱用もこの時期に起こりやすい。思春期の精神保健上の問題として、疾病としては神経症、神経性食欲不振症があり、不登校になるケースとしては、いじめ、校内暴力、家庭内暴力、不登校、非行が挙げられます。