絶対に言ってやる、絶対に自分の意見は曲げるものかと固く心に誓っても、実際に組織の中でその意思を保ち続けるということは容易なことではありません。もちろん、他の人がなんと言おうが自分を持ち続けられる人もいます。ですが、人間は意外に集団という圧力に弱いものなのです。
組織で働くためにはまずは組織ではたらくということを理解することも一つの手段となります。労働者という個人的な立ち位置から企業としての目線や立ち位置に立ってみることも、いい意味での組織と個人の相互理解につながると思います。
ここでは集団圧力・集団凝集性・集団浅慮についてご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
1-1 集団は個人と組織をつなぐパイプ役
個人 → 集団 → 組織
パイプ役としての機能が上手く働いていないと、集団の機能不全が生じてしまいます。
1-2 組織のしがらみと団結力、集団圧力と集団の凝集性とは
集団圧力とは
企業に勤め、組織の一員となると企業としてや人間関係でのしがらみというものを経験されることも多くあると思います。個人として正しい判断ができていたにもかかわらず、集団という多数の意見に屈し、自分の意見を曲げてしまったという方も多くいるのではないでしょうか。人は意外と集団圧力に弱いものなのです。
集団の凝集性とは
集団の凝集性というと非常にお堅い言葉ですが、要は集団の団結している度合です。団結心というのは一般的によい傾向であると認識されるケースが多いのですが、行き過ぎた団結心はパフォーマンスを下げるとされています。
集団の業績と凝集性については一貫した関係がみられないことがS.ジョーショアの研究でわかっています。そもそも何が両者の関係に影響しているのでしょうか。
それは集団のもつ規範と言われています。努力して高い業績をあげようという規範を持っていれば、凝集性の高い組織ほど高い目標達成が可能と言われています。反対に、業績など気にせず気楽に行けばいいという規範があれば、凝集性の高い集団の方がかえって凝集性の低い集団より業績が低くなるということです。また凝集性の高い企業ほど対立を起こしやすいという部分にもつながってきます。
1-3 集団の構造的欠陥に陥る原因とは
- リーダーがゴリ押しする政策を避け、他の代替案をオープンに議論できない環境
- 政策に関する長所・短所を踏まえ、体系的に考察するような規範の欠如
- 集団が外部環境から隔離されている
などの3つがあります。
風通しがよくリーダーの意見に対して、多角的な代替案を議論できる組織というものは言葉にするのは簡単ですが難しいところでしょう。
1-4 集団のダークサイド、集団浅慮(グループシンク)とは!?
以上のように権威的なリーダーのもと、個々の発言力が弱く、集団として活発な意見交換がなく、集団であるがゆえにかえって深く考えずに決定してしまう論理を集団浅慮(グループシンク)といいます。
そもそも集団は、団結して集団の一致を求める傾向があるとされています。集団のダークサイドである集団浅慮に陥る原因として組織の意思決定に関わる人物が凝集性の高い集団を形成することからはじまることが多いといえるでしょう。
1-5 集団浅慮の8つの症状とは
- 集団の過剰評価
- 自分たちにもろさはないという幻想
- もともと倫理観がこの集団に備わっていると信じている
- 閉鎖的な発想法
- 集団ぐるみの合理化
- 自分たち集団以外に対する偏見
- 全員一致の幻想
- 反対者への直接的な圧力
- 自分たちの自信を砕くものに対する自発的な自己防衛
これらの意見出すことで自分自身を統制させることができるのですが、その結果、欠陥のある意思決定の症状につながっていくと言われています。
1-6 集団浅慮がもたらす欠陥のある意思決定とは
- 他の代替案を十分に調べ上げないこと。
- 選考された選択肢のリスクを調べあげないこと。
- はじめのうちに捨て去った代替案を再評価しないこと。
- 状況の変化に応じた臨機応変なシナリオの変更をじっくりと練らないこと。
結局このような流れで進むと組織、集団としての成果が生まれることは極めて少ないといえるのです。
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