これは私自身の経験から思ったことです。他者から怒られるといったストレス状況が長期的に続く時期において、一時的に肩を落として視線が下向きになるような不良姿勢(アライメント不良)が起こり、ストレスのある期間が過ぎれば自然と姿勢はもとの様子に戻る。
1-1 姿勢を味方につけることはできるのか
また、一度ミスが起こり、ストレス(ここでは心因的)を受けると、そういった苦しい状況の時に限って更にミスを重ねてしまう事が思い当たるように感じます。私は、姿勢の変化によって、情動・注意力・記憶力・判断・思考などにも影響があるのではないか。そうだとすれば、姿勢を変化させれば気持ちも変化するのではないかという推測を立てました。
全体の状況や問題の相手を変えることは、なかなか出来ませんが、自分の姿勢であれば、変えたいと思えば今すぐにでも変えることができます。
自分自身の身体を味方につけるのか、それとも問題要因のひとつとして捉えるのか。これは、大きな分かれ道ではないでしょうか。
1-2 勝利のポーズは勝った時に。リスキンドのパズル実験
そもそも人は物事が上手くいかなかったときにうつむいたり、達成したり勝利を手にしたときにのびのびとした姿勢をするのかという疑問を持ち、実験を行った研究があります。
実験の内容は、解けるパズルと解けないパズルを用いて課題を与えた2群の被験者に対して、作業中の姿勢を指示するものです。
結果は、姿勢と課題の結果がマッチしている条件のほうが、そうでない条件に比べて課題への持続性が高いということが確認され、姿勢と情動には一貫性があるという仮説を支持する結果が得られています。
また、成功した被験者は前屈姿勢のときに抑うつの程度が高く、失敗した被験者は直立の姿勢の場合に、より抑うつ気分を示したのです。
例えば、ストレス過程の抵抗期に自宅等の自由な空間で課題や仕事をこなさなければならない場合には、すぐにリラックスした姿勢に戻るのではなく、時間ごとの目標を設定して、それを達成し、成功する状況をきっかけに背筋を伸ばし、抗重力筋を用いた姿勢へ変換することでよりネガティブな気分を抑制できるのではないかと考えます。
例えば上司に怒られたとき、その上司の前でその場に応じた姿勢で過ごすことは、自分自身の抑うつ気分を抑制することに繋がっているのです。
姿勢には防衛や保護の機能が備わっているのですね。そして課題への持続性にも影響するので、仕事や勉強のパフォーマンス性を高めることもできるのです。勝負に勝ったり、課題を達成したときには、恥ずかしがらずに素直に喜びを表現してみましょう。勇気を出して表現したご褒美をいただけるかもしれません。
本当の意味で他人を大切にできる人は、自分自身を大切にできる人ではないかと私は考えます。
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